1,姉御-せんぱい-

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この人。 アホなのではないかと思う。 ううん。 この人は、アホだ。 それは間違いない。 そんなことを考えていると、それが表情に出てしまったのか。 顔がひきつっていたことに自分で気付いた。 「なんだそのアホを見るかのような目は!」 「アホでしょーがっ! 治らないよっ!」 「わかった!」 先輩は手に持っていたゲーム機を床に転がすと、辛そうにして立ち上がった。 そして、その辺に放り投げてある制服のスカートに手をかける。 面倒くさそうに引っ張ってきて、それを素早く履いた。 「これで文句はないだろう。れおにゃん」 「えぇ。まぁ。……はい」 曖昧な返事を返し、あたしは部室中央の席に腰掛けた。 長方形の形をした机の左右に、椅子が二つずつ並んでいる。 更に、その近くにL字のソファーがポツンと置いてある。 先輩がよくゴロゴロしている場所だ。 因みに、この辺一帯は先輩のテリトリーとなっており、これでもかというくらい荒らすので毎日あたしが綺麗にしています。 「ところで先輩」 「んぁい?」 クソが付く程だらしない返事を返された。 「そういえば外に、こんなチラシが落ちていましたよ」 帰り道。 学園の入り口に落ちていたこのチラシ。 少し気になったので拾ってきた。 「ゲームの発売予告以外のチラシには興味はない。返してこいっ!」 「本当にどうしようもない人ですね。そのうちゲーム機踏み潰しますよ」 「やめてっ! やめてそれだけはっ!」
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