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そうそう。
このゲームオタクの名前は『優乃』。
一応あたしの先輩であり、一応ここ勇士部の部長。
この部は、あたしと先輩の二人だけで活動している。
「れおにゃん、みてみて~」
「またその呼び方」
すみません。
申し遅れました。
あたしの名前は『れお』。
先輩からは『れおにゃん』とふざけた呼ばれ方をされている。
もう、慣れたけれど。
先輩は仰向けのまま腹の上にゲーム機を置き、両手を頭の方へ持っていく。
なんだと思いながらも、先輩を見つめた。
目が合う。
そして、先輩は不適に笑みを浮かべた。
「れおにゃん。にゃんにゃん♪」
猫の真似。
両手を頭の上でピョコピョコ動かして、何故か口はアヒル口。
この人は、不意に意味の分からない行動をすることがある。
少し可愛いと思ってしまった自分が心のどこかにいたが、忘れよう。
あたしは一旦しゃがみこみ、先程のスリッパを手にした。
「はいっ!!」
《パチンッ!!》
あたしは笑顔で先輩の頭をぶっ叩いてやった。
この人はいつもこんな感じ。
しばらくの間、先輩は頭を抑え痛そうにしていたが、あたしも馬鹿じゃない。
途中で演技だと分かった瞬間、もう一度スリッパでひっぱたく素振りを見せる。
「分かった! 落ち着いてれおにゃんっ!?」
「もう叩きませんよ」
先輩の慌てた表情を見て、スリッパを手から離した。
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