1,姉御-せんぱい-

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そうそう。 このゲームオタクの名前は『優乃(ゆの)』。 一応あたしの先輩であり、一応ここ勇士部の部長。 この部は、あたしと先輩の二人だけで活動している。 「れおにゃん、みてみて~」 「またその呼び方」 すみません。 申し遅れました。 あたしの名前は『れお』。 先輩からは『れおにゃん』とふざけた呼ばれ方をされている。 もう、慣れたけれど。 先輩は仰向けのまま腹の上にゲーム機を置き、両手を頭の方へ持っていく。 なんだと思いながらも、先輩を見つめた。 目が合う。 そして、先輩は不適に笑みを浮かべた。 「れおにゃん。にゃんにゃん♪」 猫の真似。 両手を頭の上でピョコピョコ動かして、何故か口はアヒル口。 この人は、不意に意味の分からない行動をすることがある。 少し可愛いと思ってしまった自分が心のどこかにいたが、忘れよう。 あたしは一旦しゃがみこみ、先程のスリッパを手にした。 「はいっ!!」 《パチンッ!!》 あたしは笑顔で先輩の頭をぶっ叩いてやった。 この人はいつもこんな感じ。 しばらくの間、先輩は頭を抑え痛そうにしていたが、あたしも馬鹿じゃない。 途中で演技だと分かった瞬間、もう一度スリッパでひっぱたく素振りを見せる。 「分かった! 落ち着いてれおにゃんっ!?」 「もう叩きませんよ」 先輩の慌てた表情を見て、スリッパを手から離した。
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