猫と僕

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猫と僕

なぁ お前が女の子だったらどれだけかわいくて愛おしいだろうか 何を言ってるのかわからないし 何を考えてるのかもわからない でも、僕が帰ってくればけだるそうに足にまとわりついてきて 僕が寝れば布団の中に入ってきて 落ち込んでたら 「部屋の空気が悪くなるからやめてくんないかな」とでも言いそうな目で僕の顔を舐める 何を言ってるのかわからないから 何を考えているのかわからないから 僕はお前が愛おしいのだろうか? いや、たぶんそうじゃない 僕はお前のことが少しだけわかってて お前が僕のことをだいぶわかっているからだと思う そういうことにしておいて、ナツ。 ピンポーン 「ごめんね、ちょっと遅くなっちゃった」 「いいよ、気にしないで。こちらこそわざわざ来てくれてありがとう」 「いえいえ。わぁ! この子がナツちゃん!?」 「そうだよ」 「触ってもいい?」 「うん。人には慣れてるし、大人しいから大丈夫だと思う」 「やった! かわいいねぇ! よしよしよし~」 そんなめんどくさそうな顔でこっちを見るなよ もう1度だけがんばってみたいんだ。 (完)
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