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「あなた達、なにを突っ立っているのです。早く席につきなさい」
その沈黙を打ち破ったのは杉田。スパーンと鞭を黒板に打ち付けて、生徒達を落ち着かせる。
「杉田、目障りだ!」
刹那、窓際の生徒が立ち上がった。武闘派を誇る緑色のモヒカン頭の生徒だ。
「えっ、外国のお方?」
戸惑う少女。アメリカや中国やロシア、父の交友関係は広い。だが緑色の髪の毛の人物など見たことはなかった。
「チッ」
そんな彼女の傍ら、杉田が舌打ちした。それも少女からすれば戸惑いの対象。先生というのは、自分より先に生まれて教えを与える存在。故に堂々とした態度であって、絶対的な存在な筈だ。
仕方なく自分に言い聞かせる『先生は女だ。流石に男の人には敵わないのだろう』と。
その間も少女は好奇の視線にさらされたまま。重苦しい重圧を感じる。なめ尽くされそうな視線、まるで動物園の檻の中にいる動物のような心境。
「あのー」
堪り兼ねて上目遣いで見つめた。
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