2話 初恋

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やだ!やだ!絶対にバレたくない! なんで気付いたの?私おかしかった? トイレに入って、携帯で『近親相姦』について調べた。 されている人の特徴に『幼少期から慢性的に行為を行われていると抵抗する事を知らなくなる』と、書いてあった。 気付かれたんだ。痴漢って普通は抵抗するんだ。 …知らなかった。 自分がおかしいと初めて知った。 学校が終わり、帰ろうとして、白石先生に呼び止められた。 「ちょっと話しよう?…ね?」 行ったらバレるかもしれない。 だけど、先生と話したい。 「…はい」 先生に連れられて、また保健室に入った。 「座って」 イスに座った。 「答えたくないなら、答えなくていいからね」 「何を?」 「誰に何かされてるよね。…それはいけない事かな?」 断定して話してきた。 もうバレてるんだ。 ……秘密。絶対の秘密なのに。 「……わからないです…」 「うん。わからないよね。……それは川崎さんはいつもなのかな?」 「………はい」 「相手は身近な人だよね?…家族構成みたけど、お父さん?お兄さん?」 「………」 「それとも叔父さん?」 「………」 「……答えらんないか。……だよね。……だけど、少しづつ先生と話しようよ?…ね」 小さく頷いた。…先生と話はしたい。 だけど内容はイヤだ。 「友達は?クラスメイト?」 「あまり話さないの。1人がいいから…」 「じゃあ、先生を友達だと思ってよ」 それから先生は全然違う話をした。好きな食べ物や好きな音楽。趣味や得意な教科。 先生も自分の話をした。独りっ子で猫が好きとか学校の近所に独り暮らし始めて道がわからないとか。 くだらない話もして、少し笑ってしまった。 気が付いたら、とっくに下校時刻過ぎてて、慌てて帰った。
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