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2人して『セックス依存症』なのかもしれないね。
だけど、同じ2人だから大丈夫なんだね。
私さ、多分一生シキさん好きだよ。
ステージでセックスできて、2人でセックスできて、最高。
私ってこんな女。
いい女じゃんか。
知らなかったよ。
ツアーの最中にお父さんから入院先に『1度来てくれ』と、連絡があった。
2度と会わないつもりで東北地方の公演が終わってから、途中でシキさんと寄った。
病室に行ったら、全然知らない人に見えた。
「……麻衣子、今まで本当にすまなかったな…」
ビックリした。
あのお父さんが謝るなんて想像もしてなかった。
シキさんと2人で座った。
私からは何も言わなかった。
お父さんから話始めた。
「……今思うとな、なんで麻衣子を追い出す前に話をちゃんとしなかったのか、……後悔する。……貴史ができがいいヤツだと表面的にしか見えてなかった自分の愚かさに……いやになる。プライドばかりだった自分は親ではなかったな。……すまない」
独り言に聞こえてしまう。
「……何が言いたいの?…あの家、元に戻したいとか?」
「…もう無理だ。親戚から『絶縁してくれ』とももう言われている。……母さんも、もう貴史に夢中で貴史の言う事しか聞かない」
「……私に何しろと言うの?」
「テレビで見てた。…そちらの方と婚約中とか?」
シキさんさんが少し頭下げて
「倉坂 志樹です。…あの家に、彼女、戻せませんが…」
と、ハッキリ言った。
「倉坂さん、麻衣子と籍入れて、うちの戸籍から抜いてやってくれないか?……勝手ばかりですまない。……ただ、麻衣子だけは幸せになれるのなら、……今のうちになってくれ。麻衣子、お前だけでも幸せになってくれ……」
「………」
言葉がみつかんなかった。あんな酷い生き方したのはお父さんのせいなのに、お父さんの頼みは『私の幸せ』だった。
素直に『うん』とも言えなかった。
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