17話 依存症

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委任状っての初めていっぱい書いた。 よくわかんなかったけど、私は本当に『川崎』を捨てた。 後から聞いたら、お父さんはもう会社復帰は無理で、退職金受け取って会社を辞めてたらしい。 お父さんからの伝言で「2度戻るな。2度と連絡するな。金銭的援助もするな」と言ってたと聞かされた。 本当に、最後は『お父さん』だったんだと思う。 私から「2度と戻らない。幸せになる為に頑張るから」と、伝えて貰った。 車の後ろでシキさんに股がって腰振ってる。 前後に擦り付けながら。最高に気持ちいい。 私は『Rey』セックスとステージが大好き。 シキさんが大好き。 九州から沖縄回って関東に戻ってきた。 武道館。 ここ、大好き。 シキさんと気持ちが通じあった場所。 ここでみんなとイク。最高じゃんか。 オープニングが流れた。 また右手に願いを掲げてステージに進んだ。 『うわあああーーーっっっ!!!』 『Reyーっ!!Reyーーーっっっ!!!』 『Reyーーっっ!!!最高ーっっっ!!!』 ーーやっぱ最高じゃん。 私は自分の幸せを自分で見つけて掴み取った。 歌えなくなったら死んでもいいと思ってた。 今は違う。生きていたい。大好きなの、いっぱいできたから。 自分も大好きになったから。 武道館の最後の日、 トーク中にまたシキさんのBGMが流れた。 『Never let me go 』だった。 「……で、次のアンケートからの質問はー……」 「ギターのシキから、Reyに質問いいですか?」 「ふあ?」 えっ?!予定だとこんなんないぞ? 変な声出ちゃったじゃんか。 シキさん見たら、シキさんにライトアップされてた。 「Reyに質問!…全部、俺がReyを貰っていいですか?」 一瞬、武道館が静かになった。 「えっ?…あのシキさん…あの…」 本気でステージでうろたえた。 スタッフがシキさんにマイク渡して、シキさん、ギター置いて私に近寄った。 2人でスポットライトに包まれた。 「…Rey、俺と結婚して下さい」
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