第一章

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 翌日、仕事終わりに相談しようと思っていたのだが、響弥はアフターで捕まらず、自分の部屋だというのに少しも気持ちが休まらない日を過ごしてきた迅鵺は、心身共に疲れていた。  帰りたくない・・けど、疲れて眠りたい。  そんな気持ちのやり取りを心の中で繰り返しながら帰宅する。  すぐにシャワーを浴びて、今までならバスタオルで拭きながら部屋を彷徨いたが、脱衣場でしっかりと拭いて、スウェットのズボンにTシャツと着替えも済ます。  部屋の中で写真を撮られるとしたら、いつもリビングの中だが、寝室へ行く為にはリビングを通らなければならない。  そのリビングで、風呂上がりのボクサーパンツ一枚姿で髪の毛を拭いている所を撮られたと知った時から、脱衣場で着替えるようにしていた。  迅鵺は、リビングに入るとキッチンへ向かい、冷蔵庫に入っているミネラルウォーターを口元へ持っていくと喉を鳴らしながら一気に流し込む。  ふと、視線を感じてバルコニーに目をやるけれど、ここはマンションの二十九階。  それに、室内での写真が同封されるようになってから、迅鵺はカーテンを購入していて、カーテンが取り付けられた窓からは、その正体が分かる筈もない。  カーテンをしていても、なんとなく感じる視線に、部屋の中でもリビングは特に居心地の悪い場所になった。  「────はあっ、せっかくの高層マンションなのに・・」  迅鵺は、角部屋でバルコニーと窓が一番広く、その景色と解放感が気に入って決めた部屋だった為、リビングの窓にはカーテンを付けていなかったのだ。  風呂上がりの、火照った溜め息を吐いて呟くと寝室へと入っていった。
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