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完全に目が覚めた迅鵺の目に映るのは、迅鵺の開かれた太腿の間で顔を埋める大柄な男だった。
いつの間にか、スウェットのズボンとTシャツは脱がされている。
その男は、しっかりと左右の太腿を手で押さえていて、迅鵺のボクサーパンツから剥き出しにされた肉棒を舌で愛撫していた。
ピチャピチャと鳴らす水音を、暗く静かな寝室の中で小さく響かせて。
「なっ──・・何してっ・・」
迅鵺が目を覚ましたことに気付いた男は、迅鵺の肉棒を下からゆっくりねっとりと、舌を全面にべったりくっ付けて舐め上げる。
迅鵺の恐怖の色を滲ませた瞳を、瞬きひとつせず見詰めながら。
「ふぁ、あっ・・」
嘘だろ?
誰も居ない筈の寝室に知らない男が居て恐怖している筈なのに、疼くような快感を抑えることが出来ず、情けない声が漏れる。
い、嫌だ───なんで男が男に、そんな事ができるんだ!?
“コイツはイカれてる”
迅鵺は、自分のモノをしゃぶる男に厭悪の気持ちを露骨に表情へ顕した。
そして、迅鵺を恐怖させる理由は、もうひとつあった。
それは、透き通った体からして、少なくとも生きているモノではないからだ。
迅鵺は、上手く喋れないどころか体を動かす事さえ出来ずにいる。
これが世に言う、金縛りというものなのだろう。
すると、その男はニヤリと不敵な笑みを顔に貼り付けて、ゆらりと体を起こすと迅鵺に覆い被さるように迅鵺の顔の正面へ、その顔を持ってくる。
ゆっくりとした動作で男の顔が近付いてきて、迅鵺の耳元で擽るように何かを呟いた。
「ずっと、君に触れたかったんだ。」
男の言葉に、ここ一ヶ月間のストーカー行為が脳裏を過る。
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