第二章

4/20
前へ
/229ページ
次へ
*****  ─────あれは俺じゃねぇっ!俺は認めねぇっ!!  男なんかに組み敷かれるだけでも、腸が煮え繰り返る程に腹が立つというのに、自分から求めてしまった事実が恥ずかしい。  あの男を殺してやりたい程の怒りと同時に、何も抵抗出来ずに、いいようにされてしまった自分自身にも怒りが湧いてくる。  迅鵺は、乱暴にベッドから立ち上がって、シャワーを浴びようとバスルームへ行こうとした。  けれど、初めてだった上に、あんなにも激しすぎる行為のせいで、迅鵺の体は悲鳴をあげているようだった。  怒りのせいで急に勢い良く動いたものだから、迅鵺は力の入らない膝から震えるように崩れて、固いフローリングの床に膝と手を着いてしまう。  迅鵺は、悔しさと虚しさを呑んで立ち上がると、今度は壁に手を付きながら、ヨロヨロと心許ない足取りでバスルームまで歩いていった。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

898人が本棚に入れています
本棚に追加