第一章

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 「九番テーブル様より、シャンパン頂きましたーっ!」  「「ありがとうございあーすっ!!」」  一人の派手な男がマイクを持ち、シャンパンの注文が入った事を、店内全体を煽るように声を響かせると、それに続くように派手な男達は一斉にお決まりの台詞を口にし、九番テーブルへと集まる。  “Club TOP SECRET”  そう、ここはホストクラブ。  店内は薄暗く、流行りのお洒落な音楽とブラックライトで演出された空間には、きらびやかな若い女の子や、真面目そうなOL、育児に疲れた主婦に年配の女性、やり手のキャリアウーマンなど、様々な層のお客様が愉しまれている。  TOP SECRETは、いつも忙しいが、今日は一段と賑わっていた。  店内のBGMがTOP SECRETでは定番のハイテンションな音楽に変わると、九番テーブルのお客は期待と優越感で胸を踊らせる。
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