第一章

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 今夜は、TOP SECRET、NO.1のバースデーイベント。  席は満席で、まだかまだかと自分のテーブルに迅鵺が来てくれるのを待っているお客で溢れ返っている。  その中でも、一際目立つのがシャンパンタワーの存在。  これは今夜の目玉だ。  シャンパンタワーを用意したお客は、迅鵺のお客の中でも一番の太客。  ※太客=お金を沢山使う客  二度目のシャンパンコールを終えた迅鵺は、数分その席に留まった後、今夜の一番の見せ場、シャンパンタワーのお客の席へと移動し、お客の隣にピッタリと密着するように座って、お客の耳に手を添えると吐息混じりに囁いた。  「恭子さん、今日の口紅の色すっげぇ似合ってます。思わずキスしたくなるな・・」  恭子と呼ばれたお客は、迅鵺の甘い言葉に胸をときめかせ、頬を赤らめる。  「あ、ありがとう・・嬉しいわ。」  四十過ぎの独身のおばさんだろうが、どんなお客でも迅鵺は完璧に女性として扱った。  鳳条(ほうじょう) 迅鵺(としや)は本日、八月二十七日で二十歳となった。  身長175㎝体重62㎏、細身に程好く付いた筋肉、セットされた髪の毛は、肩に付かないくらいの長さ。  女顔負けな程の色白で綺麗な肌に長い睫毛の二重な目。  鼻筋はスーっと綺麗に通っていて少し厚めのぷるんとした唇。  完璧なルックスと完璧なリップサービス。  そして、女性としての悦びと快楽に溺れさせるのも、迅鵺にとっては当たり前のことだった。  所謂、枕営業というものをしている。※枕営業=客を抱いて営業すること
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