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積み上げられたシャンパングラスに、頂上から一本十万円以上のシャンパンが次々と注がれていく。
積み上げられたシャンパングラスの数は、三百個を超えていて、その全てにシャンパンが行き渡るのにボトル六十本以上。
一般的には、考えられないような高額な金額はたった一夜で振る舞われる。
迅鵺の世界では、これが日常的なことで、この日、断トツで一番の売上を誇ったシャンパンタワーのお客とアフターへ行く約束だ。
※アフター=営業終了後に客と出掛けること
いつもの倍以上お酒を飲んで酔っ払っているが、そんな事は関係ない。
迅鵺なりの“ケア”が、こうしてアフターでホテルへ行き、甘い言葉と甘い快楽をお客へ与える事なのだから。
高額な金を支払うお客に、下心が何もない訳ではない。
それなりのモノを、お客も迅鵺に求めているのだ。
きらびやかな世界で、大金を動かす歌舞伎町の男。
容姿も、ホストとしての素質も、男としてのステータスも、この世界では、誰もが憧れる程の実力の持ち主だった。
そんな迅鵺の身に少しずつ、不可解な出来事が起こり始める。
この時の迅鵺には、それを回避出来る訳もなく、魔の手が近付いている事にも気付けずに、迅鵺のバースデーイベントは幕を閉じた。
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