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「響弥さん、一年間、世話になりました。」
迅鵺は、TOPSECRETの主任である響弥に頭を下げると、部屋の鍵を渡す。
「ああ、素人だったお前がたった一年でここまで上り詰めるなんてな。まあ素質があった事は分かってたが、一年でマンション買える程稼ぐホストなんて、一握りだぞ。」
そう言って、バシッと迅鵺のケツを叩いて煙草に火を点ける響弥に、迅鵺は大して痛くもないが“痛いじゃないっすか”なんて言って、端から見ればホスト同士じゃれあってるようにしか見えない。
二人は、良く気が合って兄弟のように仲が良い。
迅鵺は一年前、新宿で買い物をしている所を響弥にスカウトされて、この世界に飛び込んで来た素人だった。
当時、ただのアルバイトで生活していた迅鵺は、金もないし、歌舞伎町に通うには場所も遠かったので、店で用意されてる寮のマンションで暮らしていたが、誕生日を機に、ついにマンションを購入した。
新宿の三十階建てマンションのエントランスに入っていく迅鵺。
最上階は、もう売れてしまっていていたが二十九階の端の部屋を気に入って選んだ。
玄関の鍵をカードで開けた迅鵺は、1LDKの広々とした明るく綺麗な部屋に足を踏み入れる。
「今日から、俺の部屋だっ!」
ついテンションが上がってしまう迅鵺。
リビングにあるバルコニーの大きな窓を開けると、バルコニーで煙草を吸いながら景色を楽しんだ。
![image=509435358.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/509435358.jpg?width=800&format=jpg)
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