第一章

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 新しいマンションでの生活を始めて、たったの数日。  迅鵺の身の回りで異変が起こり始めた。  ポストには、迅鵺を隠し撮りした写真が一枚と、一言書かれたメッセージカードが入った封筒が毎日入っていて、その枚数も七枚目となった今日は、ブルガリの香水が入った小包まで添えられている。  気味悪いが、ホストをやっている迅鵺は、どうせ客のストーカーで、何かあれば力強くでどうにかなるだろうと、誰にも相談しなかったし深刻には悩まなかった。  けれど、気付くといつも何処からか視線を感じて、それは自室に居ても感じられた。  そんな事が約一ヶ月もの間、たったの一日も欠ける事なく繰り返されてきて、段々とその内容もエスカレートしてきている。  最初は、店から出てくる所だったり、何処かで買い物してる所やマンションのエントランスに入って行く所くらいだった写真が、自室で寛いでる所や着替えている所と、室内での迅鵺を盗撮したモノへと変化していた。  毎日、全身を舐め回されるような感覚にも似た視線に、迅鵺は悩まされて、なかなかその犯人も分からず、少しの手掛かりも掴めないでいた迅鵺は、流石に響弥に相談しようかと思い始めていた。
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