行きずりの部屋

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一杯目の酒を飲み終えた頃、彼女は恥ずかしそうに言った。 「よかったら、私の家で飲みませんか?」 「え?初対面の男を家に呼んで平気なの?」 「私もお酒飲みたくなっちゃって。でも、一人で飲むのも寂しいから」 「いいけど!」 可愛い声で誘われば、断る理由はなかったし、正直下心があったからラッキーだと思った。 そして、俺と彼女はそのバーを出て彼女の家に向かった。 彼女の家があるという駅を下りると、そこは閑散としていた。 唯一あるコンビニの光だけが、かなり目立っていた。 そこで、俺は追加の酒とつまみを買い、二人で街灯だけがぽつりぽつり立っているだけの暗い道を歩いた。 「こんな暗い道をいつも帰ってるの?変な奴に襲われたりしない?」 「……大丈夫です」 彼女は小さな声でそう言った。 しばらく歩くと、彼女が立ち止まった。 目の前には、二階建てのわりと綺麗なアパートが建っている。 「ここです」 彼女はそう言って中に入って行った。 部屋は一階の一番奥。 手前には、二つのドアがある。 夜中のせいなのか、とても静かだ。 彼女が鍵を開けると、許可を取り俺も中に入った。
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