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#03
他の汁男達が去っていった後も、彼は部屋の片隅に座り込んでいた。
非常に危険な状態である。
この世界の絶対者ーー〈管理者〉に「必要なし」と判断されたら、彼は跡形も残らず削除される。
今のところはまだ、大丈夫なようだ。
「ねえ」女が彼に声をかけた。
女は部屋の中心あたりの床に寝転がったまま動かない。
部屋の中には、彼と女、2人だけが残されていた。
「悪いけど、起こしてくれないかしら? 腰が抜けちゃっったみたい。動けないの」女が言った。
彼は女の方に近づいていき、彼女を抱き起こした。
それからドレスの乱れを直してやった。
とはいえ赤いドレスはあちこちが引き裂かれ、見るも無残な状態になっていたのだけれど。
「ありがとう」
女は礼を言い、それから彼に尋ねた。
「君の名前は?」
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