#03

1/5
前へ
/18ページ
次へ

#03

他の汁男達が去っていった後も、彼は部屋の片隅に座り込んでいた。 非常に危険な状態である。 この世界の絶対者ーー〈管理者〉に「必要なし」と判断されたら、彼は跡形も残らず削除される。 今のところはまだ、大丈夫なようだ。 「ねえ」女が彼に声をかけた。 女は部屋の中心あたりの床に寝転がったまま動かない。 部屋の中には、彼と女、2人だけが残されていた。 「悪いけど、起こしてくれないかしら? 腰が抜けちゃっったみたい。動けないの」女が言った。 彼は女の方に近づいていき、彼女を抱き起こした。 それからドレスの乱れを直してやった。 とはいえ赤いドレスはあちこちが引き裂かれ、見るも無残な状態になっていたのだけれど。 「ありがとう」 女は礼を言い、それから彼に尋ねた。 「君の名前は?」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加