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ジャンプ
ぱたり、風がやんだ。
飛ぶなら今だ。
頭のおくから聞こえる声が背中を押す。
ここには誰もいない。
見わたすかぎりの空と、
切りとられた日常がそこらじゅうに浮かんでいる。
靴を揃えるのは最低限のマナー。
またここに、帰ってくるためのおまじないだ。
気づけない武者震いは指先を超えて、
とっくに小さくなってこちらを待っている。
行け、風を味方につけて。
雲の割れ目は東で待っている。
飛べ、羽がちぎれておちるまで。
ひかりはフェンスの先にある。
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