オレンジ色に染めて。

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「マスター、オレンジブロッサム」 「はいはい」 カウンターしかない小さなそのバーはお世辞にもお洒落とは言えないお店で、私みたいな年齢の女の子にはいささか場違いな雰囲気だ。 ここで他のお客さんから感じる視線は色々あるが、大体が大人のお店に無理して来ている小娘に対する好奇心の目や嘲りの目……つまり、早く帰れよという無言のプレッシャーを与えている。 毎週金曜日。それでも私は今日もオレンジ色のカクテルを1杯だけ注文する。 ナッツと一緒に目の前に置かれるグラスはいつも私を緊張させた。 これで終わりにできるかもしれない。 終わりにしたい。 でも、本当に? いつもの自問自答。
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