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「やっぱもう帰るとこだったか」
駅まで続く大通りに出る前の少し狭い道をぼんやりしながら歩いていると目の前に突然人が立ちふさがった。
だけどその声も金曜日によく聞く声だったから、私は歩調も変えずに進む。加えた動作といえば返事として頷くくらいだ。
「予想外に会議が長引いてさ」
彼は頭をかきながら方向転換して私の横を歩いている。
「ゆうちゃんは無理して来なくていいんだよ?私の問題なんだし」
「それはわかってるよ。でもさ、俺もワカゾーだからバーに行く機会なんてなかなかないわけ。馴れておいた方がかっこいいだろ?モテるだろ?」
「モテるかどうかはバーに行く前の行動じゃない?」
私の冷たい反応に対して彼は笑顔だ。そしてバーにさらっと行ける男の格好良さについて熱弁を振るう。
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