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「僕さ、瑠香ちゃんが初恋なんだよ。それまで女の子に興味が無くて、母さんからは男の子が好きなのかと散々聞かれたよ。だから琉香ちゃんが家に来た日、心臓が飛び出しそうにドキドキして、母さんにその事を話したら、それは恋よ、女の子が好きで良かったと言われちゃった。」
誠夢くんの言うことが、直ぐには信じられなかった。
「そんな本当なの?それにおばさんも知っているの?」
おばさんには隠していたつもりだったけど、バレていたんだ。
「本当だよ。瑠香ちゃんが好きと言ってくれて、僕も好きと答えたよね?だから僕達は付き合ってるのかと思ってた。」
そんな、ちゃんと言ってくれないと分からないよ。
「だけど、そんな素振りは何もなかったじゃない。」
私は辛うじて抗議してみた。
「うん、母さんがね、瑠香ちゃんはまだ小さいから、本当に好きなら待ちなさいと言われてた。僕ね、恋愛とか良く分からなくて、母さんは瑠香ちゃんが高校生になって、同意するまでは変なことしちゃダメって言われていたんだ。」
今時の高校生や大学生で、母親の言うことを律儀に守る人がいるなんて驚いた。
「だから4月になるのを待っていたの?」
高校生になった途端に大人になるわけじゃないと思うけど。
「うん、でもちゃんと確認してからにするね。既に勝手に一度だけキスしちゃったけど。」
こんなことなら誠夢くんに彼女のことを聞いたときに、もっとハッキリと問い詰めておけば良かった。だからあの時の誠夢くんは、当たり前の事を言う私に素っ気ない態度をしたんだ。
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