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「優しかったよな、賀川。オレはいつも独りでいたから、知らされてないことも結構あってさ、そういうときいつも助けてくれた。さりげなく友達との会話のなかでそのことを喋って教えてくれたり、オレが言えないでいることを代わりに言ってくれたり。どうしてこんなにオレのことが判るんだろう、っていつも不思議だった」  なぜこんなに間際になってからと思うほど、結城はよく喋った。だがその気持ちは賀川にもよく判った。想いを確かめ合ってからたった数日でまた離れるのだ。  だがこれで終わりじゃない。ふたりはここから始まるのだ。 「これ、俺のイメージカラーなんだったら、今からでも交換するか」  結城のストラップを掴んで言うと、結城は笑って首を横に振った。 「いいんだ、これはもう、オレの一部だから。……それに、おまえには赤の方が似合うって気付いたから」  そう言って結城は何故か恥ずかしそうに俯く。賀川はすぐにその意味に気付き、にやりと笑った。 「そんなに情熱的だったか、俺?」  こっそり耳うちすると、結城は一瞬でかあッと赤くなった。 「この、……エロオヤジ!」  ハハッと笑って賀川は結城を抱き締めた。もうこの際人目は気にしない。  結城は慌てたように身体をもがかせたが、本気の抵抗でないことはすぐに判った。  ふいにチュッと頬のうえでちいさな音が鳴る。いざとなると大胆になる恋人は、可愛い逆襲で賀川を撃ち抜き、真っ赤な顔で向かい合うふたりは恥ずかしいほど幸福な景色になって、いつまでも人の目を引き続けていた。 おわり 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 お読みいただき、ありがとうございました! ※続編『これから』へ続きます。
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