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ぬるめの湯にゆっくりと浸かり入浴をすませた。くつろごうと冷蔵庫からビールを取り出し、2階に上がる。夜風で涼もうと窓を開けて、網戸にした。明るいままだと外から丸見えなので、常夜灯にして明かりを落とす。ついでに和室の換気でもしようと仕切り扉を開けた。
思考より体が先に反応した。一瞬で全身が粟立ち、扉を開ける手が止まる。半分ほどひらいた扉、その先にそれはいた。
横座りの状態で顔は俯き、黒く長い髪を下に垂らし、赤い着物を纏った女。
怖い、......俺は初めて本当の恐怖を感じた。身体が硬直して動かない、いや、動くのだろうが、少しでも動けば相手がすぐさま飛び掛かって来そうで動けない。まばたきすら、目を閉じた瞬間に何かがおきそうでできない。
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