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冷たいタオルが額に乗せられ、目が覚めた。
「悪い、起こしちまったか」
目覚めても、体はだるく、熱も下がってないようだ。
「どうだ、調子は?」と、直樹がペットボトルの水を差し出す。上半身を起こし受け取り、一口だけ飲んだ。
「良くないな、さっきより悪いかも」
「だろうな、熱も下がってなさそうだし、あと、──指も酷くなってる」言われて指を見ると、無数の傷口から膿が吹き出し、小指全体がぐちょぐちょとしてグロテスクだ。直樹曰く、拭いても拭いても膿が出てくるらしい。
「どうなっちまうんだろうな、俺?」グロテスクな指を眺めながら弱音がでた。
「とりあえず、お前が起きたら病院に行こうと思ってたんだ。車を取ってくるから、少し待っててくれ」
「えっ?」と直樹に顔を向ける。俺の顔は相当、不安そうな顔になっていたんだろうな、直樹が諭すように優しく言う。
「こんな真っ昼間から、流石にでてこないだろ。すぐ戻るから寝てろ」時計を見ると、正午を少し回ったところだ。
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