~ 60%の、青 ~

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体育館の隅の人影に気づき、 反射的にそっちを見てしまう。 あぁ…見なければ良かった…。 心は意外と強いのか、 そう冷静に思った後は体育館の外へ出た。 「あれ、えの、はやかったね!」 育ちゃんの無邪気な声が遠くからして、 そっちへ駆け寄って行った。 「いま入れないわ、体育館。」 「え?」 「あいつ…拓と瑠奈が…」 「なに?ちゅーでもしてた?」 育ちゃんは冗談で言ったつもりでも、 それは冗談にはならなかった。 「…ええぇまじか…。」 「付き合ったの?あそこ」 「うん…、さっき言おうとしたんだけどね。」 「そっか。」 「えの、それでも好きなの?」 育ちゃんが冗談っぽい顔のままそう言ったから 「当たり前じゃーん。」 と、私も冗談っぽく本気の言葉で返した。
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