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体育館の隅の人影に気づき、
反射的にそっちを見てしまう。
あぁ…見なければ良かった…。
心は意外と強いのか、
そう冷静に思った後は体育館の外へ出た。
「あれ、えの、はやかったね!」
育ちゃんの無邪気な声が遠くからして、
そっちへ駆け寄って行った。
「いま入れないわ、体育館。」
「え?」
「あいつ…拓と瑠奈が…」
「なに?ちゅーでもしてた?」
育ちゃんは冗談で言ったつもりでも、
それは冗談にはならなかった。
「…ええぇまじか…。」
「付き合ったの?あそこ」
「うん…、さっき言おうとしたんだけどね。」
「そっか。」
「えの、それでも好きなの?」
育ちゃんが冗談っぽい顔のままそう言ったから
「当たり前じゃーん。」
と、私も冗談っぽく本気の言葉で返した。
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