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常に彼は瑠美に対して思っていたのだ。重い、と。コンソメスープはただのきっかけにすぎない。
『お前、重すぎる』
その言葉は瑠美を傷つけ、恋愛に対して恐怖に近い感情を抱くようになった。そして人を好きになることもなくなってしまった。
人は居心地の良いものを求める。
地面に沈み込みそうな重さを持った人も、重力に逆らってふわふわした軽い人も、なかなか受け入れてもらえないもの。
二人は元々、重さが違う人間だった。だからこそ居心地の悪さを感じる。
でも、初恋だった瑠美にはわからなかった。
彼氏がいるという事実が嬉しくて居心地の悪さなど感じなかった。
居心地が良いと錯覚してしまったのは、舞い上がっていたから。
本当に彼を愛していたのか、そんなことまで疑問に思う。
こうして瑠美は自分は誰からも必要とされていない人間と思うようになった。
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