終わりと始まり

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 しかし、今では常連客しか足を運ばない場所だ。  午後五時。  静かなBGMが流れる店内にいるのは、やはり常連客。  最終日の今日は早めの六時に閉店。その知らせは店内の壁に貼ってある。  『閉店のお知らせ』なんて、本当に素っ気ない文章だと瑠美はため息をつく。  最近は『美味しい』の言葉すら聞かない。  食事の終わった食器を片付けるのも虚しくなってしまうほどに、瑠美の気持ちは後ろ向き。 「ありがとうございました」  あと一時間を残して、店内は静まり返ってしまう。BGMが瑠美を慰めるようにひたすら音を出していた。  閉店する日を決めた後、瑠美は久しぶりに就職活動をした。この年齢で雇いたいと言う企業は少ない。  それでも小さい企業に来月から働くことを決めた。本当は仕事が好きになれるかが不安であった。
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