序章

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「じゃあ、試してみるか?」  ギシっとベッドが軋み、誠一の顔が近づく。 「何言ってんだよ、近いって」  グイっと誠一を押しやろうとする。 「怖いか」  クスっと子供を見る様な目で誠一が笑う。 「は?」  魅音が鋭い目で睨む。 「魅音が男を受け入れられるかどうか試して、ダメだったらもう二度と魅音の前には現れない。どう?」 「・・・・・・試すって、どうやって?」 「そのものズバリには触れず、後ろでイッたら俺の勝ち。イかなかったら魅音の勝ち」 「っ、ふざけんな!」 「俺はこのままずっと魅音に会いに来る方がいいんだけど。それに、初めてで後ろだけでイく人はあんま居ないしな」 「・・・・・・」 「怖いなら、やめていいぞ」  誠一がニッコリと笑う。 「・・・・・・やる」  ボソっと魅音が言う。 「え?」 「本当に二度と現れないんだな?」 「・・・・・・もちろん。約束は守るさ」 「・・・・・・入れんのはなしだからな」  魅音が不安そうに言う。 「ああ、分かった」  誠一が悪魔の様な顔でニヤリと笑った。 「じゃあ、始めようか」  誠一が明かりを消し、ジャケットをイスに放り投げた。窓から差し込む光で、微かに誠一が笑みを浮かべているのが分かった。  ギシっとベッドが軋み、誠一が魅音の上に覆いかぶさる。逞しい腕が魅音を挟む様に下ろされ、誠一の熱い唇が魅音の唇を覆った。 「んっ、ちょっ・・・・・・」  魅音が暴れる。 「なんだよ」 「キスする必要ねぇだろっ」 「ムードのないガキだな、黙ってろ」  強引に唇を塞がれ、荒々しく口内を犯されその刺激に目眩がした。酔っているからか、体に力が入らない。唇が離れると、はぁっと荒い息で魅音が息を吐く。 「覚悟しろよ、途中で止めてなんてやらないからな」  魅音の耳元で、誠一の低い声が響く。 「っ・・・・・・」  魅音の体が恐怖に震える。もうすでに後悔していた。酔っていたとはいえ、あんな誘いに乗るなんて・・・・・・。やはりこの男の前では、冷静な判断が出来なくなっている。
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