新生児教材人形

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 幸い、俺の仕事は自宅でする事が主で、週に一、二回程度、クライアントとの打ち合わせで外出するだけなので、ほとんどの時間、自宅で過ごすことができる。  紗英は健太郎にかかりっきりなので、家事全般は俺がこなしている。 若い頃から長いこと一人暮らしをしていた経験があり、その頃を懐かしんで楽しくやっている。 料理は昔からの趣味のひとつで、週に何度か本格的なディナーを作るのだが、その度に紗英は喜んでくれる。  煮込み料理の火加減を気にしながら、ソファーに座る紗英を見ると、健太郎を膝に座らせ手遊びをしている。 「そうだ、──紗英」 濡れた手をエプロンで拭う。 「誕生日会、舞ちゃん来てくれるって連絡があったよ」  次の土曜日は健太郎の三歳の誕生日。 そこで紗英の妹、舞ちゃんを誕生日会に招待したのだ。 事故当時、舞ちゃんは俺達夫婦を気遣ってよくこの家に来てくれていた。俺も当時はショックで何も手につかず、身の回りの世話を舞ちゃんがやってくれていた。 あの時の御礼もまともに言えてなかったので、それも兼ねてと紗英と決めた誕生日会だった。 「舞ちゃんと会うのも久しぶりだから楽しみだな」 俺は紗英の肩にそっと手をやった。
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