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「だーいじょうぶだって。心配すんな。あと七年もすれば、また会えるさ」
そう言って、男は笑った。
ニッと白い歯を見せたまま、ホレホレと自らの胸に指を差す。
「思いっきりやってくれよ。中途半端に死ねなかったら、俺が辛いからな」
「でも……」
「平気、平気。たとえここで死んでも、『俺』はお前のことを絶対に忘れない。約束だ」
「…………」
少女は一度、きゅっと強く目を瞑った。
そうして再び開かれた瞳には、強い意志の色が込められていた。
「約束、だよ。ギルバートさま」
柄を握る両手に、渾身の力を込める。
そうして勢いよく振り下ろされた刀は、見事に男の心臓を貫いた。
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