本編

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 慌てた和巳に抱き起こされ、体中に雷のような衝撃が走った。 ドクンドクン。全身が心臓になったみたいに脈打つ。 触れられた部分から痺れるほど甘い疼きが生まれた。 「ハア、ハア……なんだ、これ」 「この匂いは……っく、発情期だな」 「え……発情、期?」  喉がカラカラに干上がる。 熱い、欲しい、もっと。 この腕でめちゃくちゃにして欲しい。 目の前がチカチカして欲望に支配される。 これが発情期……。 堪らず和巳にしがみつき、夢中で唇を押し付けた。 「んっ!? 岩佐……!」 「はあ……んむ、んんぅ……」  キスなんてしたこともないのに、突き動かされるまま舌を絡め、柔らかな粘膜を舐め回す。 唾液が砂糖菓子のように甘い。 クラクラするほどの快感が全身へと広がった。 「岩佐、落ち着け……んっ…こら、向こうに抑制剤が」 「や、イヤだ、薬いらない、アンタが欲しい……!」  抵抗されて涙がボロボロ零れ落ちる。 朦朧とした意識で白衣の合わせ目に手を伸ばし、膝の上に跨った。 尻を揺らして男の中心に擦りつけると、和巳が眉を寄せる。  フェロモン全開のΩに襲われればαの彼はひとたまりもない。 瞳の奥にじわりと欲望が滲んだのを棗は見逃さなかった。 「なあ、しろよ……アンタのものに。……な、シて、先生」 「っくそ、もう、知らないからな……!」
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