まさかの夢

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 七月の下旬になって、学校は夏休みに入っていた。八月十日の一週間前と、前日の九日に龍から確認の電話があった。 「約束はちゃんと守ってくれるんだよな?」 「心配するな。十日は開けてあるから」  と答えた。携帯から聞こえてくる声から、龍の不安が伝わってきた。  八月十日の午後二時過ぎに、龍は遼哉のワンルームマンションの部屋にやって来た。夢で見た二十一時四分までずいぶんと時間があるが、一人でいることが怖くて仕方ないということだった。二人とも昼食を食べいなかったので外へ出ることにした。  最寄り駅方向へ歩き、細い裏路地に入った。そこに古びた中華屋がある。知る人ぞ知る店で、具だくさんの広東麺が絶品だった。 「広東麺ふたつ」  遼哉が注文すると、 「いや、おれは普通の醤油ラーメンでいい。腹減ってないから」  龍はげっそりとした顔で言った。二人は夏休みに入ってから初めて会ったのだが、龍はかなり痩せたようで頬がこけている。
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