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二人は遼哉のワンルームへ戻った。
本当は部屋ではなくどこか別の場所、例えばカラオケボックスとかファミレスとか電車の中など、夢に現れた龍の部屋以外で運命の時間を迎えても良いのだが、
「いや、他人のいる場所だと何が起こるかわからない。それこそ、元カノとばったり出くわす危険性だってある。やっぱり、遼哉の部屋にいさせてくれ」
と言うので、当初の予定通りにすることにしたのだ。
「確かにおれの部屋であれば、龍の元カノに知られる心配はないからな」
遼哉は先週この部屋へ越してきたばかりだった。大学の前期試験が終了し夏休みに入ってからのほうが荷造も部屋を引き払うのも楽だということで、このタイミングでの引っ越しとなったのだ。
「おれがこの部屋に越してきたことを知っている人間はごくわずかだし、今おれと龍がこの部屋に潜んでいることを知る人間はいないはずだ。ここに龍の元カノが突然やって来るなんて、百パーセントないと言い切れる」
「そうだよな」
ほっとした表情で龍はうなずいた。
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