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「そうかもしれないな。高校の時から付き合ってた彼女を、好きな女ができたからって捨てたんだからな。恨まれても仕方ないよ。機会を作ってでも、改めて謝罪するべきかもしれないな」
正直、正夢になればいいのに、と遼哉は思った。ただし死なない程度に。
「いや、今からおれが何をしたって、この夢は現実になるんだ。完全なる正夢をおれは見てしまったんだ」
「そんなに思いつめるなよ。なんなら、今ここで元カノに電話したっていいんだぜ。それで心のつかえが取れるんなら、思い切って電話してみればいいんじゃない」
「違う。電話で謝罪しようが何しようが、おれはあいつに刺されることが決まってるんだ。運命なんだ」
遼哉はここで初めて、龍の考えていることが変だと気づいた。正夢ということを、文字通り実際に起きる出来事と思っている。
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