まさかの夢

　龍の説明によると、先週の日曜日に彼女と二人でアパートの部屋にいたところ、突然連絡なしに龍の妹が訪ねてきたのだという。

　妹は今春高校を卒業し、現在は美術系の専門学校に通っているのだが、手相や人相、占星術などの占いに幼い頃から興味を持ち、いつの間にかその技術を習得していたらしいのだ。今では休日や学校の勉強の合間に、デパートの占いコーナーでブースを借りて、プロの占い師として金を取って客の相談に乗っているという。

「あいつ、まだちっちゃな時から妙に勘が鋭くて、誰それが病気になるとか事故に遭うとかズバリ当てることがあった。占い師としてやりだしてからも評判がよくて、リピーターも多い。あいつの言うことを無視することはできない。その矢先に見た夢だろ。正夢に決まってる」

　占い師の妹が言った「爆弾」というのはあくまで喩えで、とんでもない災い、といった意味だろうと龍は解釈していた。