まさかの夢

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「正確な日付、時間までも夢に現れたんだ、これは普通じゃない。今朝妹に電話して夢のことを話したら、『それ、正夢』と断言した。平然とした口調だった。なんとかならないのか、と聞いてみたけど、『ならない』の一言だった。あいつは、妹は、おれが元カノを捨てたのを知ってる。血も涙もない、ろくでなしの兄貴だと思ってるんだ。自業自得だとでも考えてるんだろう。おれ、もう、死ぬこと決定だろ」  龍はいまだにB定食を一口も食べていない。本気で自分の欲得によって捨てた彼女に刺されて殺されると思っている。けれども、未来が正確にわかっているのならば、対策はいくらでも考えられる、当たり前のように遼哉はそう思った。 「だったら、八月十日の二十一時四分に、絶対に元カノに会わないようにすればいいんじゃないのか。どこか、遠い異国の地にでも行ったりして」  ハワイにでもバカンスついでに行けばいいのだ。まさかハワイまで元カノは追いかけてこないだろう。
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