*キミの境界線*side 東田千歳

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竜憧くん…… いや、今は"魔陀羅の総長ラギ"っていうべき?彼は、今度は私を睨みつけた。 「違うのかよ!?」 なにこれ、どういう状態!? なんで逆ギレしてんの!? いつもいつも優しすぎるくらい優しくて気が弱いくせにオレ様!? 「千歳!」 でも、どんなにキャラ変しようがこのひとは私の好きな竜憧くんだ。 胸の奥で、どくどく音を立て騒ぐ心臓がそれを告げている。 「……そ」 そんな偉そうに言わないでよ! 言い返そうと、喉元にまで出た言葉がどうしても出ない。 そうしていると、彼は仲間たちを見渡して、こう宣言した。 「ここにいる千歳は オレにとってこの世でただひとりの女だ。 いいか忘れるなッ!」 「…………ッ」 チルさんやジウをはじめ、 魔陀羅の幹部たち全員が言葉をなくした。 そしていま、 何が起きてるのかよく分からない私の視界は、 彼によってふさがれた。 「黙ってオレに守られてろ!」 気づけば強く、胸のなかに包まれていたのだ。 「…………っ、 ちょ……!?」 そのとき、私だけは感じた。 彼が倒れそうなくらい震えていることに。 私だけは聞こえた。 苦しそうに喘ぐ声が。 「…………ちとせッ………… 心配させないで………… お前以外のことなんか どうだっていいんだ………」
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