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「あ~つ~い~ぞ~~」
「夏だからな」
「全く、何じゃこの茹る暑さは」
「…夏だからな」
家のクーラーと序でに扇風機も壊れ、夏の暑さに項垂れる狐太朗。
垂れた耳と尻尾が超キュートだ。俺は我慢出来ず尻尾をモフる。
「九郎、もふもふしとらんで何とかせぬか」
「うちわで扇いでやってるだろ。つーかまずお前のその恰好を何とかしろ」
「我の恰好じゃと?」
「全裸で横たわるな。見てるこっちが熱くなる」
主に下半身が。
「今何か意味合いが違う様な気もしたが、まぁ良い。文句があるならお主も脱げば良かろう」
「俺はいい」
「何じゃ、恥ずかしがっておるのか?愛い奴よのぅ~」
狐太朗は、うりうり~と指先で俺の腿をぐりぐりする。
――やめろ、そんな可愛い仕草ッ。
俺は狐太朗の手を軽く撥ね退ける。
「冷たいのぅ…九郎は我が嫌いか?」
狐太朗は俺の膝に顎を乗せ、不機嫌そうに頬を膨らませながら上目使いに見つめてくる。
可愛すぎて直視してるとヤバイ…。
特に下半身が。
俺は視線を逸らし「別に」と答えてやる。
「我は、お主を好いておるぞ。少々オツムは残念じゃが、見掛けによらず善人じゃからな」
「褒められてる気がしないんだけど」
「狐ちゃーん、扇風機買って来たよー!」
俺と狐太朗がイチャついて(?)いると、俺の母さん――九乃[ここの]が買い物から帰って来たようだ。
「おぉ、流石九乃!気が利くのぅ♪」
「待て。服くらい着て行け」
今にも走って行きそうな狐太朗を引き留め素早く着物を羽織らせ帯を締めてやる。
「何をするのじゃ、暑いではないか!」
「お前の裸を俺以外の奴に見せるのはもったいない。」
きっぱりそう言ってやると、最初はきょとんとしていた狐太朗は少し嬉しそうに、
「そうか?ならば裸になるのは九郎の前だけにしようぞ」
と、悪戯っぽく笑った。
――やっぱ、狐太朗の笑顔は抜群に可愛いな。
「扇風機よ、今行くぞー♪」
母さんの元へ駆けてく狐太朗。
扇風機に負けた気がしてちょっと悔しいが、コタの笑顔が見れたので良しとしよう。
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