◆誘う狐

2/6
前へ
/12ページ
次へ
「九郎、我と“きす”するか?」 「突然何ですか?」 「先程、九乃が亭主と接吻している所を目撃してな。何やら激し――」 「やめろっ、親のそんな話聞きたくねぇ。」 知りたくもない。なんつーコト聞かせんだ、この狐は。 「それでのぅ、何かこう…言い様のない好奇心の様なわくわく感に襲われてのぅ」 「確実に好奇心だ、それは。」 大方、人のキスシーンを見て自分もしてみたくなったんだろう。 にしても、珍しく そわそわと落ち着きがない狐太朗。 …可愛い。尻尾モフりたい。 「どうじゃ?我と試してみぬか?」 「……え?」 「お主がどうしてもと言うのであれば構わぬぞ」 いや、試したいのは狐太朗の方だろ。そうツッコミそうになったが、なんとなく恥じらって見えて可愛かったし、折角の機会なので俺は大人しく頷いた。 →
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加