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ちいちゃんとようくんは手をとりあって階段をゆっくりおりてきた。木漏れ日がさわさわとふたりを祝っていた。ふたりのまわりには、おおきくなったまりちゃんとこうちゃんもいた。ふたりともきれいな格好をして、すっかりおとなの顔をしていた。たくさんの人は列になってちいちゃんとようくんの横に並び、おおきな花びらをみんなで投げていた。ぼくは、なんとなくわかった。さよならだ。おはようを祝うように、さよならを祝っているんだ。
ぼくのこころの虹が、いつの間にかこころ全体におおきくかかっていた。雨も今日、やっとやんだ。ぼくはちいちゃんが最高にきれいな、あの大好きな笑顔になっていることが、こころから嬉しかったのだ。
「さよなら、さよなら!」
ぼくはみんなといっしょに、ふたりを祝った。
この気持ちはきっと、ぼくにしかわからない。ちいさいときのちいちゃんの顔、ママとまたけんかするときのちいちゃんの声、おふとんのなかでもじもじと遊んだ、あの体温を、今、ぜんぶ思い出していた。
「ひじき!」
ちいちゃんが笑顔で、ぼくを呼んだ。
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