6人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の夜、自分から話すという隆を押しきって先輩に電話をかけた。
私がすべて悪かったと謝罪すると
「裏切者、偽善者!私の時間を返せ!このブス!」
なんて罵られて、相当落ち込んだ。
良い人でいたいがばかりに人を傷つけてしまった罪悪感は大きく、知らない先輩にも噂の標的にされ心苦しい日々も続いたけれど、一か月後には
「次のターゲットは、三年の先輩になったらしい」
という話を由香がどこかから聞きつけてきて
「突き抜けててちょっと尊敬するわ」
と意気揚々と話す姿に、私もだいぶ救われた気がした。
「何の話してるの?」
隆が隣から割り込むと、
「あんたの元カノの話!」
と由香が軽蔑するような目を向けた。
「由香、ごめん。私が悪かったの。私、今幸せだから」
「美弥子がそういうなら……まぁ、いいけどさ」
私たちの会話に苦笑いを浮かべながら、隆は手に持っていた紙パックを私に向けた。
「はい、オレンジジュース」
「今日はこっちでも良いかな」
と私がリンゴジュースをつかむと、隆は少し驚いた後、大きく笑った。
「はい、どうぞ。美弥子が望むなら」
最初のコメントを投稿しよう!