リンゴジュース

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その日の夜、自分から話すという隆を押しきって先輩に電話をかけた。 私がすべて悪かったと謝罪すると 「裏切者、偽善者!私の時間を返せ!このブス!」 なんて罵られて、相当落ち込んだ。 良い人でいたいがばかりに人を傷つけてしまった罪悪感は大きく、知らない先輩にも噂の標的にされ心苦しい日々も続いたけれど、一か月後には 「次のターゲットは、三年の先輩になったらしい」 という話を由香がどこかから聞きつけてきて 「突き抜けててちょっと尊敬するわ」 と意気揚々と話す姿に、私もだいぶ救われた気がした。 「何の話してるの?」 隆が隣から割り込むと、 「あんたの元カノの話!」 と由香が軽蔑するような目を向けた。 「由香、ごめん。私が悪かったの。私、今幸せだから」 「美弥子がそういうなら……まぁ、いいけどさ」 私たちの会話に苦笑いを浮かべながら、隆は手に持っていた紙パックを私に向けた。 「はい、オレンジジュース」 「今日はこっちでも良いかな」 と私がリンゴジュースをつかむと、隆は少し驚いた後、大きく笑った。 「はい、どうぞ。美弥子が望むなら」
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