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「花火大会の日。先輩にコクられた時に、美弥子の話された」
思わず顔をあげた私に、携帯をポケットにしまうと同時に握られたティッシュを差し出して
「俺たちのこと応援してるって。付き合ってほしいって思ってるって、美弥子もそう言ってくれてるんだ、って」
と隆は続けた。
「俺、あっそうなんだーって思った。美弥子は俺と先輩が付き合ってほしいって思ってるのか、って。少し、残念に思った」
私は思わず息を飲んだ。
「でも俺、決めてたから。美弥子は覚えてないだろうけどさ、「隆くんが美弥子ちゃんのお願い何でも叶えてあげるー!」って言ってた頃からね。
本当に、美弥子の願いを叶え続ける男でありたい、って。
美弥子が先輩と付き合うことを望むなら、まぁそれも良いかなぁって」
「何それ……」
「美弥子と付き合えないなら、美弥子が望む人と付き合いたいって思ったんだ」
言葉が出なかった。ティッシュを握りしめて泣き続ける私に
「ほらっ、鼻水!」
とティッシュを奪い、隆は私の鼻を強くふいた。
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