ライブ配信

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 画面は夜の住宅街から少し離れた場所。周りは暗く、街灯の明かりもまばらにしか見えていない。そこには電気がついていない、平屋の家が写っていた。 「今日も実況僕、ムクとカメラ担当れんず、そして企画担当うぇち、の3人で送っていきます。ちなみに今回、夜に撮影しているので画面が暗視カメラモードになっています。では うぇち君、今日の企画説明よろしく」  画面がムクからうぇちに変わる。 「はい。今日はちょっと怖いお話。N市のある廃屋、今俺らがいる場所のお宅のことにまつわるお話しです。何でもネットでの噂によると、この家には等身大の女の子の人形があって、その人形には昔死んだ女の子の呪いがかけられているそうです」 「それで?もしかしてその女の子がこの家の子だったとか?」  れんずが訊いた。 「ざっくりと話すと、この家の家主は独り暮らしで、もともと仕事が多くてあまり家にはいない人だったらしい。ところがある日仕事を終えて家に帰ると、なぜか等身大の女の子の人形が居間にあったらしい」 「それは嫌だ」  ムクが嫌そうな顔をした。 「買ったこともない等身大の人形が突然現れたことに家主は不気味になり、その日は外で泊まった。で、次の日、家に帰って居間を見ると人形はいなかった。家主は見間違いだったのかと安心したが、自分の部屋に行くと人形はそこにいた」 「何それ!絶対やばいやつじゃん!」  ムクが小声で叫んだ。
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