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「で、家主は恐ろしくなって家を飛び出した。すると後ろから女の子の声がした」 「それは?」  れんずが訊いた。 「分からないってさ。でも、家主は確かに女の子の声がしたと言っていたらしい。家主はすぐに警察に行って事情を説明したが、相手にしてもらえなかった。家主は家に入るのが怖くなり、荷物もそのままにその家を手放したそうだ」 「なんか、久しぶりに背筋がぞくっとしたわ」  れんずが冗談っぽく言った。 「でも、その後、この話が出回って何人か行っている人たちがいて、実際にこの家主の言っていた人形を見ていて、本当に女の子の声を聞いたり、または動いていたという話があるんだ。中にはこの家に入ったまま行方不明になっている人が何人もいるらしい」 「それでうぇち君、今回の肝試し企画がこの家っていうこと?」  ムクが懐中電灯の光を廃屋に当てた。電気は当然ついておらず、人の気配のない家が不気味さを演出している。 「そういうこと。あ、ちなみに今は空き家ですけどこれは不法侵入となります。良い子は絶対にまねしないでください」 「それから、僕らは今からこの家の噂を調査します。僕らが無事帰ってくることを祈っていてね。それじゃあ、行きますか」 「噂では家の西側にある窓が開いているそうなので、そこから入ってみますか」
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