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「あれ、れんず君、うぇち君、どうしたの、固まっちゃって」
その時、画面は部屋から出ようとしていたムクしか映っていなかった。けれど、次の瞬間
「うわあぁぁぁ!!!」ガチャン!
画面が乱れ、二人の絶叫とカメラがれんずの手を離れて床に落ちた激しい音の後、画面は部屋の方向を向いて、ムクの足元だけを写していた。
「ちょっと、うぇち君!?れんず君!?待って――うわあああ!」
すると画面にはムクの足元ではなく、バン!という大きな音と共に、落ちた懐中電灯と床に倒れたムクの顔が写り、彼はじりじりと人形がいた部屋に引き込まれていた。
「何だよ!?一体何なんだよ!誰か助けて!!」
画面にはムクがカメラに向かって手を伸ばしながら大声で助けを求めていた。ムクが叫んでいる声以外に、何か女の子のような声も聞こえていた。けれど、女の子が何を言っているのかまでは聞き取れない。そして、ムクは画面にも映らないほど部屋の奥まで引きずられて行き、そこからは何かを壊すような大きな音だけが響いていた。
やがてその音もなくなり、画面にはしばらくの間静かに落ちた懐中電灯だけが映っていた。すると、ギシ、ギシ、と部屋の奥から音が聞こえだし、画面にはスニーカーが映った。画面はスニーカー、キュロットパンツ、Tシャツと順番に映していくと、急にバキン!という音とともに画面は完全に消えた。
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