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「奏多、ねえ・・・
やめてよ。
あなたがそんな事したって、何の解決にもならないよ。
ね?
こっちに来て?
ちゃんと話そうよ・・・」
彼は、工業団地の廃倉庫の屋上のフェンスの向こう。
「俺さ、何も知らなくて。
こうするしかないんだって。
こうすれば、きっと許される。
許してくれる。
だから、遥は何も知らなかったことにして、帰れよ。
お前がここに居たことが分かったら、大変な事になるからさ・・・
お前には何の関係もない。
何も知らなかったことにするんだぞ?
幸せに、なれよ?」
そう言って、背を向けた。
「ダメ!
そんな事をしたら、幸せになんかなれない!
お願いだから・・・」
フェンスの隙間から手を伸ばすが、届かない。
私もそれを乗り越えようとするけれど、高くて登れない。
「ありがとうな、好きだったよ・・・」
そう言って悲しく笑い、まるで水たまりを飛び越えるように、飛んだ・・・
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