始まりは

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あの時の夢を何度も見る。 彼の名を呼びながら、泣きながら目を覚ます。 でも、 時間を戻すことは出来ない。 彼は5階のビルの屋上から飛んでしまった・・・ きっと私のせいだと、今でも思っている。 死ぬなんて、そんな事を考えるほど追い込んでしまったのだ。 彼だけが味方だったのに。 もっと何か伝える言葉があったはずだ。 思いとどまるほどの力を持った言葉が。 でも、今になっても何も思いつかない。 ねえ、奏多。 小さい頃、覚えてる? 一緒に遊んだよね? あの頃が良かったね。 大人になんてなりたくなかったよ。 いい事なんてひとつもない。 世の中を知れば知るほど、汚れた大人が何を企んでいるのかと考えてしまうから。 ねえ、奏多? 今あなたが居る所はどんなところ? もう一度、笑える時が来るのかな・・・ また一からやり直すことができるかな・・・
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