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雨の中を、聞き慣れない雨音と共に歩く。
カナコの上半身を隠してしまう黒い傘は、何となく匂いも違うようだった。
太陽の匂い、と言えば良いのだろうか。
雨具なのに太陽って……と一人で反論しつつ、桃色の唇が再び踊り始める。
今日のことは、友人に話したいような、秘密にしておきたいような、話すなら、どう話そうか。
カナコの靴に跳び跳ねる雨粒のように、歌に合わせて弾む思考が、少しずつ、彼女の世界に色をつける。
傘を返さなくてはいけない。
ちゃんとお礼もしなくてはいけない。
その為に彼を探さなくてはいけない。
何事もなく終わる高校生活は一変したようだ。
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