【R18】二王の戴冠

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「馬鹿ですね、まったく。神や悪魔ではないただの人間ですよ」 「それでも、俺の中では君の印象は強烈だ。月よりの使者。君は未だに、あの時の清廉さを失っていない」  言われ、頬に触れた熱い手が撫で、愛しく唇を落とされる。甘やかされ、愛おしまれ、この体は素直に開いていく。  快楽によってばかりではないだろう。与えられる感情が、頑なな心を開かせ全てを解放していくのだ。 「私も覚えていますよ、貴方は夜のような人。静かで穏やかな、夜の使者」  漆黒の髪を、纏う黒を、こんなにも似合う人がいるのかと思った。静かに佇むその姿に多少の畏怖と、それを覆い隠す穏やかで優しい空気を感じ、寄り添いたくなった。 「貴方は夜。月を抱く夜です」 「ならば、似合いか」 「勿論。月は常に夜の中にあり、優しく穏やかに抱かれているのです。それこそが、至上の幸福なのですから」  抱きついて、ユリエルから唇に触れた。  求める気持ちを託して触れた舌を、柔らかく包んでくれる。体が熱を孕む。心臓が求めるようにドキドキと音を立てる。  互いの服を剥ぎ取るように脱がせ、逞しい腕に、背に触れた。  しっかりとした筋肉のついた体は、あの頃と何も変わらない。  胸に一つ、薄く傷が残った事だけが唯一の違いか。     
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