第四話

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「本人から何も聞いてないのか。今から聞く話は他言無用にしてほしい。沢木海透、本人のために」 保坂さんの言葉に、私は一度小さく頷く。 「・・・もともと沢木は、採用と同時に東京本社ではなく、大阪支社に配属の予定だったんだ」 「え、そうだったんですか」 「あぁ。ここだけの話なんだけど、一年前ぐらいかな。あいつさ、入社前に大阪配属って聞いたとき東京本社でないなら入社をやめるって言ったんだよ。絶対に東京本社だって。聞いたことがないだろ、入社内定者が配属に異議をとなえるなんて」 保坂には、本当におもしろおかしい話なんだろ。 思い出し笑いで目に涙をためている。
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